昨日1/14、Swissborgと中国の取引所99Exが主催するBlockchain Unicorns Tokyoが日比谷の国際ビルで開催されました。内容としてはIOST、NEOと言った中華系プロジェクトらがそれぞれのプロジェクトの中身についてプレゼンテーションを実施したり、日本の市場についてGinco、博報堂、Coinpostの方々がパネルディスカッションをするなど、長丁場に渡って日中の市場について語られました。
特にNEOの創始者であるDa hongfei氏が来日し、イベントに登壇しているのは中国の人たちにとっても非常に珍しく感じられたようで、彼の話には多くの人が耳を傾けていました。
今回はその内容を簡単にご紹介したいと思います。
NEOのFounder、Da hongfei氏は大きく分けて3つの話をしていました。
- NEOのビジョン「new smart economy 」について
- ブロックチェーンは世の中をどう変えるか
- パブリックブロックチェーンの課題
以下具体的に見ていきます。
1.ビジョン-new smart economy
Da Hongfei氏はNEO以外にもOnchainと呼ばれる会社を設立しています。
そもそもNEOはNEOだけで生活が完結する経済圏、smart economyを掲げ、イーサリアムキラーとして知られています。しかしDa氏はNEOを設立してからも、現実的にビジネスで活用されるまでには企業の協力を得ること、現実世界との接点を持つことが重要と考えるようになりました。
そこでOnchainを設立しその中でOntologyというプロジェクトを動かすことで、ブロックチェーンをエンタープライズ向けに提供することにしたのです。
Ontology自体はprivate dataと呼ばれる仮装データと現実データを繋げるためのプロジェクトになっています。
2.ブロックチェーンがどのように世の中を変えるか
So blockchain is a
- software:デベロッパがコーディングするもの
- platform :OSやアンドロイドと同じで、ブロックチェーンの上にアプリケーションを乗せることができる
- Network Protocol:ブロックチェーンはネットワークプロトコルであり、誰でもこの上にアプリケーションを作れて、プロトコルを守れば良い
- Internet of Value:情報をインターネットの上に取り込むだけではなく価値を付与することができる
そしてブロックチェーンは新しい「機関的な」パラダイムである。企業、会社、政府のような機関と同じであり、新しい協働をすることができる
ブロックチェーンというのは信頼をもって生まれた機械
個人的に面白い表現だなと思ったのが、Da氏の「ブロックチェーンは信頼をもって生まれた機械である」という表現で「ブロックチェーンは信頼のコストを下げている」ことを示した点です。
本サイトでも、過去にブロックチェーンの「分散性」が指す意味についての解説記事を公開していますが、ブロックチェーンはマシンコストと引き換えに信頼のコスト、すなわちビジネスや利害関係が一致しないものの間で発生する合意形成のコストをプロトコルに代替することによって下げています。Da氏はこれを「信頼をもって生まれた機械である」表現しており、言い得て妙だなと思いました。
彼によれば帳簿は昔粘土が使用されていましたが、次に紙、次にスプレッドシート、そして次世代では分散型台帳が使用されるでしょう。
そして歴史と帳簿、経済の関係について、
- 狩猟経済では限定された、規模が小さかった協力しかできなかった
- 農耕経済に移行して封建主義で協力体制が拡大。オーナーも複数人いるようになるor王様が土地を所有するようになる
- 現在の産業経済に移行。多くの会社、国が資本主義で国レベルの協力が実現された。
将来はさらに一歩進んで産業経済から「デジタル経済」「スマート経済」になるだろう。全ての資産がデジタルになり、そうなれば全てがプログラム言語によって管理され、ブロックチェーンに記録されるだろう。権力の集中は独裁を招くので、公共の皆によるコンセンサスが必要になるし、経済も住まいや物のシェアといったシェアリングエコノミーが発展してくる。その中でグローバルレベルで協働することができるようになるはずである
3.パブリックチェーンについての課題
- スケーラビリティ
- プライバシー
- セキュリティ
- ストレージ
- コンセンサス
があげられており、これらをNEOでは独自の暗号スキームやコンセンサスアルゴリズム、独自のバーチャルマシンなどによって解決していくとのことでした。
今回はNEOのFounder、Da Hongfei氏の語るNEOとsmart economyについての内容をまとめました。語られた内容自体はNEOに詳しい人や技術者コミュニティKeymakerの人にとってはそこまで新しい内容はありませんが、NEOのことをよく知らない人や彼自身の言葉を聞きたい人にとっては興味深く感じられるのではないかと思います。