先日シンガポールのブロックチェーンプロジェクトであるBlockpunkが世界初となるブロックチェーン上でのアニメーション配信を開始しました。
「ブロックチェーン上でアニメの配信をして知的財産を保護しよう!」とうたうプロジェクトは数あれど、初めて実際に配信されたものがリリースされたのはとても感慨深く、またそのアニメーションがとにかく素晴らしいものだったのでぜひブログで素晴らしさをシェアしたいと思います。
クリプト民のみなさん、blockpunk上でイーサリアム(or fiatの米ドル)でこれ買えますよ!ERC721で知財保護、クリエイターの権利保護に寄与しつつ幻想的なアニメーションと映像美を楽しめます
ほんと作品として素晴らしかったのでみなさんぜひhttps://t.co/WYClAYwOZc https://t.co/ez9GeqQiZa
— megan㌠ (@sunteam097) July 8, 2019
アウトラインは以下の通りです。
- Blockpunkとは?
- 配信されたアニメーション、「微睡みのヴェヴァラ」とは
- イーサリアム上でアニメーションを購入するまでの流れ
Blockpunkとは
今回ブロックチェーン上でアニメーションの配信を行ったのはシンガポールのブロックチェーンプロジェクトBlockpunkです(公式サイト)。
Blockpunkはシンガポール政府系列のファンドSGInnovate, NAVERやLINEからの出資を受けるHustle Fundなどからシードラウンドで出資を受けており、日本でも大日本印刷(DNP)などと戦略的パートナーシップを締結しています。
Blockpunkが提供しているのはクリエイターの作品のマーケットプレイスです。様々なクリエイターが出品した作品に対してユーザーが直接購入したいものを指定し、仮想通貨(イーサリアム、支払い手段はウォレットから)もしくは法定通貨(米ドル、支払い手段はクレジットカードのみ)で購入することができます。
従来売買されていたのはゾンビランドサガのスマートプリントなどのイラストメインでしたが、今回初めてアニメーションの配信に至ったようです。
ブロックチェーンとしてはイーサリアムを利用しています。ERC721トークンと呼ばれる、固有のアイデンティティを付したトークンに一つ一つの作品を結びつけ、作品を購入した人はEtherscan上で自分の購入した作品のトランザクションIDやアドレスを確認することができます。
配信されたアニメーション、「微睡みのヴェヴァラ」とは
今回配信されていたアニメーションは「微睡み(まどろみ)のヴェヴァラ」。
クリエイターはsho5氏。東京藝術大学の卒業制作として製作された作品です。
製作協力はBlockpunkとパートナーを締結している日本のアニメプロデュース会社ARCH(公式サイト)。現在公開されている映画「プロメア」の宣伝を担当しているほか、ジャンプで連載中のコミック呪術廻戦の単行本発売記念PVなどもプロデュースしています。
微笑みのヴェヴァラは、夢を忘れた少女が不思議な生き物ヴェヴァラと出会うことから始まり、美しい映像と声優の方々の名演技が光る作品でした。
ARCH株式会社の公式HPより、あらすじは以下の通り。
サナは、ある日夢の中で、手に持った杖で地面に絵を描くヴェヴァラに出会う。
眠るたびにヴェヴァラと出会い、夢の世界をめぐる不思議な時間。ちょっと変だけど、本当に楽しくて。
だけど、夢と現の世界を行き交うある日、サナを悪夢が襲う。サナの胸に去来する悲しい記憶。その時ヴェヴァラは……。
[予告]「微睡みのヴェヴァラ 」(10分3秒)
ーそれは絶望の暗闇に差し込む光のように眩く、暖かく私を包み込んだー卒業制作でアニメーションを作りました。
明後日(7月10日)20時頃、youtube上にて本編を公開する予定です。よろしくお願いします。 pic.twitter.com/DeDKxZCoRR— syo5 (@syo5_) July 8, 2019
音楽、背景、キャラクター設定など全てが1人で作ったとは思えないほどのクオリティでした。
イーサリアム上でアニメーションを購入するまでの流れ
では実際にどのようにERC721とアニメーションが紐づいているのかを簡単に概観したいと思います。
まずBlockpunkの公式サイトからメールアドレスを登録し、サインインします。
ログインに成功すると、このようにマーケットプレイスが表示されます。
下にスクロールするとある「Vevara in Your Dream」が今回の「微睡みのヴェヴァラ」です。
これをクリックすると、あらすじが表示され、さらに下にスクロールすると、
このようにBuy video tokenというボタンがあります。
私が購入した時は15ドルでした。ヴェヴァラの本編自体はYoutubeで公開されているのですが、こちらのマーケットプレイスで購入できる作品では製作者であるsho5氏とプロモーションを担当したARCHの平澤氏によるコメンタリーが収録されています。
私は何も考えずにクレジットカードで購入したのですが、他に購入された方からEthereumで購入できたことを聞き、若干後悔。
https://t.co/qaL51j4yQj での購入、ちゃんとEtherでも支払い出来る!
だがしかしGAS代が高騰してて高すぎるので少し様子見ですな・・・ pic.twitter.com/5GnbUvHqI2
— 信玄@MolTopShot勢 (@shingen_crypto) July 8, 2019
購入するとこのように証明書が送られてきます。
CREATOR CONTRACT IDが作品に紐づいているERC721トークンのアドレスです。
TRANSACTION HASHも確認できて、ブロックチェーン好きは皆テンションが上がりますね。
実際にこのトランザクションハッシュとトークンのアドレスはEtherscanで確認することができます。
イーサリアム含めパブリック型ブロックチェーンの醍醐味はアドレスが全世界に公開されていることですから、実際に購入した作品についてこのようにアドレスが見られているのはとても感動しました。
購入すると自分のアカウントのなかでアニメーションが観られるようになります。
今回はイーサリアムのERC721トークンを利用したアニメーションの配信についてまとめました。
イーサリアムを使ったゲームはMy Crypto HeroesやCryptoKittiesなど有名なものが多くありますが、アニメーションに関してもこれを機にもっと広まっていけばと思いました。特にBlockpunkで購入された作品に関してはクリエイターに報酬が入るようになっているようなので、クリエイターや知的財産の保護という観点からも今後の流れを注視していきたいと思っています。